【イベントレポート】第10回業界マップ部会「注目企業特集」
第10回業界マップ部会「第10版カオスマップ公開!編集チーム注目企業特集」のカテゴリーで開催されました。
今回ご登壇して頂いた企業は、
- 株式会社アジラ
- 株式会社Penetrator
- アップフロンティア株式会社
の3社です。前半は各社製品・サービスのご紹介をしていただき、後半はパネルディスカッションを実施いたしました。
第1部 各社製品・サービス紹介
株式会社アジラ様
弊社は技術研究開発を重ねてきたスタートアップ企業で、行動認識AIを中核に不動産向けのサービスを展開しています。株主には阪急・阪神不動産や東急などの大手不動産会社が名を連ねており、警備分野ではセコムにも導入されています。行動認識AIは、防犯カメラ映像から人の動きを認識・推定し、異常行動を即座に検知して通知する技術です。既存の防犯カメラをそのまま利用でき、初期費用なしで月額料金のみで導入可能な点が特長です。迷惑行為や破壊行為、進入禁止エリアへの侵入など多様な異常行動を検知し、不動産施設の安全管理に役立てられています。
昨今の猛暑の中で人命を守るシステムとしての利用も想定されており、全国100以上の施設に導入が進んでいます。特に大型駅直結のビルなどでの採用が増えており、警備会社と連携して少人数での警備効率向上を支援しています。導入事例として、丸の内エリアの三菱地所所有ビルをはじめ、鉄道駅や空港、大学、病院、介護施設など多岐にわたります。
また、施設内の人数を防犯カメラでカウントする機能もあり、来場者データの収集・分析が可能です。混雑状況、性別・年齢層、個人・グループの来訪傾向を把握し、密度が一定に達した際にはアラートが発信されます。ロボットとの連携も進めており、異常検知や来場者数管理の効率化を実現しています。ダッシュボードでデータが可視化され、本社担当者がリアルタイムで状況を確認できる仕組みも提供されています。今後も警備の効率化と施設モニタリングサービスの展開を進めていく方針です
株式会社Penetrator様
ペネトレーター代表の阿久津です。「WHERE」という、宇宙技術を用いて不動産取引を革新する弊社のサービスを本日はご紹介いたします。私たちのチームはJAXA宇宙科学研究所の研究室からスタートし、昨年にはJAXA公式ベンチャーに認定され、東京大学のVCから資金調達を受けて活動を拡大してきました。私自身、不動産や建築会社を経営した経験もあり、この知見と宇宙技術を融合させてシステム開発を行っています。
「WHERE」は、世界初の宇宙技術を活用し、効率的に価値ある土地を見つけ出すためのシステムです。不動産ビジネスの源流である土地の仕入れに特化し、従来アナログな情報に頼っていた71%もの土地仕入れの課題を解決します。JAXAでの月面衛星データ解析技術を応用し、空き地や古い物件をピックアップし、法務局データと連携して所有者を特定する機能を実現しました。
例えば、希望のエリアを入力すると、数百件の候補地がリストアップされ、それぞれの土地情報や所有者情報も瞬時に取得できます。これにより、中間業者を挟まず直接交渉が可能になり、取引のスピードが飛躍的に向上します。福岡県の開発業者、福岡地所さんでは、このシステムを導入して半年で複数の10億円規模の案件を成功させました。さらに、不動産市場に追い風が吹く中、私たちは衛星データだけでなく、ウェブや行政データをも組み合わせて情報の価値を高めています。将来的には、不動産源流情報のプラットフォーム構築、海外展開、行政との連携、個人間取引の支援も視野に入れています。すでに世界中の不動産情報を探索できる仕組みを持ち、来月にはアメリカ版を発表予定です。
被災地支援や地域経済分析プロジェクトなど、行政との協力も進行中です。これらの活動を通じて、不動産業界に新たな価値を提供し、私たちのシステムをさらなる成長に導いていきます。
アップフロンティア株式会社様
2005年に創業し、現在19年目を迎えるアップフロンティアは、約60名の社員を抱え、スマートフォンアプリの自社開発が最大の収益基盤となっています。特に、2008年のiPhone発売時からアプリ開発を開始し、これまでに500以上のアプリを手掛けてきました。実績としては、三井不動産や本田技研工業のアプリがあり、現在も維持管理を行っています。
アップフロンティアのモットーは、最新技術を迅速に取り入れ、他社に先駆けて顧客に提供することです。今年の例としては、AppleのVision Proがあります。このデバイスが発売された際、すぐに3台を輸入し、社内で活用方法を検討。その結果、6月28日に日本でVision Proが発売された際には、5つのアプリをApp Storeにリリースしました。
清水建設との共同プロジェクトでは、豊洲地区においてスマートシティ特区に関連する実証実験を行っています。これは、月に一度行われるマルシェの情報を最新のARデバイスを通じて可視化するもので、明るい場所でも情報が表示できる点が評価されています。アメリカのMagic Leap2を活用したこのプロジェクトは、新しいデバイスの普及時にどう活用できるかを探るものです。
また、東京の熱帯植物館向けのアプリも紹介されました。このアプリは、来館者が周囲の植物に関する情報を得るもので、音声ガイドからアプリに切り替えたことで利用者数が約5倍に増加したとのことです。
「ジオラマビジョン」は国土交通省の「PLATEAUプロジェクト」で提供される都市の3Dデータを利用したARアプリで、最新のARデバイスで町の情報を視覚化するアプリを提供しております。1つ目のパッケージ「都市ガイド」ではその都市のスポット情報を可視化して観光案内や都市計画で利用されることを想定、「浸水マップ」では津波や高潮の浸水予想を可視化して、防災意識を高めることを目的としています。特に「浸水マップ」は地方自治体向けに開発されており、コストを抑えつつ、カスタマイズにも対応しています。
最後に、最新デバイスの開発体制が整っていることを強調され、興味を持つ方にぜひ問い合わせください。アップフロンティアは今後も新技術を取り入れたさまざまなサービスを展開を目指しています。
第二部ディスカッション
━それぞれの事業の強みを教えてください。
アジラ尾上氏)
アジラのAI技術は、画像解析の分野で特に人間の姿勢や動きの推定に優れ、世界トップクラスの精度と軽量な処理が特徴です。これにより、競争力のある価格で提供できる点が強みとなっています。また、現場からのリアルタイムのデータフィードバックを受けて学習データが豊富に集まるため、先行者としての優位性を保ちながら他社と差別化できる体制を整えています。
Penetrator阿久津氏)
私たちは、先行利益を意識しながら、取引可能な不動産を見つけるためのAI学習を進めています。ユーザーが増えるほどAIが賢くなる仕組みで、活用が広がっています。不動産業界以外でも、建築業や解体業者、スーパーマーケットなど多様な業種から利用されています。また、周辺の権利関係もカバーすることで、より大規模なプロジェクトにも対応可能です。現在は特にエンタープライズ企業からの利用が多いです。
アップフロンティア横山氏)
弊社は、新しい技術やデバイスをいち早く取り入れ、社内で情報を共有しながらお客様に提供することで競争力を高めています。社内のR&Dプロジェクト「超技研」では複数のテーマで定期的に開催され、社員は自分の興味がある分科会に参加し、定期的に集まって最新情報を共有する場を設けています。こうした活動により、当社にはクライアント各社から調査依頼が舞い込むようなネットワークが築かれています。また、他事業での収益を基盤に安定した開発投資が可能な点も強みです。地道な取り組みを通じて、社員同士で知識が蓄積され、それが会社の成長と継続性に貢献しています。
━最後に一言、行政や業界に向けてお願いします。
アジラ尾上氏)
防犯カメラの使い方について、少し曖昧な部分があると感じています。特に、ヨーロッパでは規制が厳しいのですが、日本では防犯目的での利用は問題ありません。しかし、マーケティングの要素が絡んでくると、他の活用方法に対するプライバシー面での懸念が出てきます。どの程度まで踏み込んで良いのかが不明確なため、このあたりを整理できれば、もう少し事業を進めやすくなるのではと考えています。
Penetrator阿久津氏)
国内も国外も同様ですが、今すごく成長している不動産会社の共通点として、「知見やデータの蓄積を社内で行っている」ことが非常に大きなポイントです。私たちのフェアは、その知見やデータを多額の費用をかけず、非常に手軽に蓄積できるシステムです。もしこうした点に関心のある企業様がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけいただければと思います。
アップフロンティア横山氏)
新しいARデバイス市場は未だ立ち上がっていない状況ですので、現時点で直接的な利益を得るというよりも、将来ARデバイスがスマートフォンの代わりになる可能性を見据えた先行投資のような位置づけになります。実証実験という文脈で検討されているお客様がいらっしゃれば、ぜひお問い合わせください
ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
次回のイベントは1月末に実施予定です。
皆さまのご参加お待ちしております。