【イベントレポート】NIKKEI PropTechConference
2月16日金曜日に日本経済新聞社の主催で「NIKKEI Real Estate Summit 2024」が開催されました。
その中のNIKKEI PropTechConferenceにおいて、代表理事の巻口が登壇し、
「不動産DXの現状とデータ分析の展開」をテーマに講演しました。
当日は会場58名、オンライン457名、合計515名の方が参加との報告をいただきました。
以下、巻口の講演内容を一部ご紹介します。
FRBの急速な利上げに伴い、2023年のアメリカの不動産取引マーケットは縮小し、不動産取引に関わる不動産テックプレイヤーの多くの業績も低迷しました。オンラインで不動産の買取転売をするi Buyerや、購入者を資金的に支援する新たなプレイヤーであるPowar Buyer各社もリストラなどによって業態を縮小し、生き残りを測る局面を迎えました。
他方で、不況下においては、一層マーケティングの重要性が増すため、BtoB市場ではテックプレイヤーの業績が安定し、新たなキーワードとして「スマートエージェント」が浮上しました。アメリカの不動産業界では、革新的なテクノロジーやジェネレイティブAIを含むサービスが次々と登場し、取引プロセスやコミュニケーション手法全体に革命をもたらしています。
アメリカではデータ分析に基づくAIが活用され、新たなビジネスの創出が見られますが、日本の不動産市場ではデータ整備が課題となっています。新型コロナウイルスの影響もあり、オンライン取引の重要性が増し、不動産テック市場は今後ますます拡大する見込みです。この市場の成長は、ユーザーのスキルや理解力の変化にも関連しています。不動産業界におけるテクノロジーの活用が進む中、日本においてもアメリカの市場同様、ユーザーの年齢層変化によるデジタル対応の必要性が変化しています。
アメリカの不動産テック市場では、従来のブリックアンドモルタル型の不動産業者自身がテクノロジーサービスを提供するようになり、業界全体が不動産テック中心に業態を変化させてきています。同様に、日本でも不動産サービスのデジタル化が進み、データとAIの活用が急速に広がっています。
データの蓄積が進み始めたことから、最近のビジネス環境では、自社データをデジタルプラットフォームに統合し、ビジネスインテリジェンスを活用するサービスが注目されはじめています。これらの動向からも、不動産ビジネスにおけるデータ活用が今後最も注目される分野となるであろうことが予想されます。
近年、官民いずれも自社データに加え、空間情報に関する多様なデータを収集分析するサービスなどが台頭しています。このトレンドの中で、ビジネスインテリジェンスの重要性が増し、経営情報の迅速な分析と活用が求められています。
不動産テックは金融や法律など多岐にわたる分野と関連しています。異なる分野が融合することで、競合他社との差別化が可能となります。昨今の日本における不動産テックの進展には、異分野の結合によるDXの実現というポテンシャルがその背景にありました。
多くのプレーヤーが市場に参入し、多様なサービスが提供される一方で、連携の重要性も高まっています。現在のサービスは一つ一つが独立していますが、これらを連携させることでよりシームレスなソリューションが実現されます。
データ連携において重要なのは、各サービスのデータを効果的に連携することです。異なるサービス間でのIDの統合が必要であり、これを実現するためにはオープンIDの導入が求められます。
不動産テック協会では、不動産オープンIDという取り組みを推進しており、これは住所を基に不動産にIDを付与する取り組みです。また行政においても、登記簿謄本の地番ベースの不動産IDの取り組みが進められています。さまざまな不動産テックサービスが登場している中、これらを連携させることでより高度なビジネスプロセスを構築することが必要となります。
不動産のIDによって、データや事業が連携する世界観を構築することで、様々なデータが共有され、自動的にデータを共有する世界が実現することが、不動産ビジネスにおいて今後最も重要だと考えられています。
以上のように、不動産市場の変化とテクノロジーの進化が、不動産テックの未来に大きな可能性をもたらすとの内容を述べました。
本イベントにご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
引き続き不動産テック協会をよろしくお願いいたします。