【イベントレポート】第23回ビジネスマッチング部会「物流×不動産テック特集」

2024.10.24UP

第23回ビジネスマッチング部会が開催されました。今回は物流×不動産テック特集と題し、各社10分前後でプレゼンテーションをいただいた後は、20分間のパネルディスカッションを実施しました。オンライン参加も可能ですが、原則としてリアルな参加者の声を優先しています。

 

イベントの一部をご紹介いたします。

第1部 各社プレゼンテーション

 

株式会社ライナフ 杉村様


株式会社ライナフは設立から10年を迎え、不動産会社向けにスマートロックなどの開発・販売を行っています。IT技術を活用し、マンションや物件設備の価値をさらに効率的かつ革新的に向上させる提案をしています。今回お話しさせていただくのは、マンションのオートロック用スマートロックの仕組みです。このスマートロックをインターネット回線を使って遠隔操作で開閉できるデバイスとして導入し、置き配にも対応しています。置き配とは、宅配業者が荷物を玄関前に置いて配達する仕組みで、物流業界の「2024年問題」に対応する重要な技術です。2024年問題では、ドライバーの時間外労働が規制され、再配達が困難になる可能性が高まっています。これに対応し、日本政府はラストワンマイル配送に投資し、置き配の普及を進めています。

特に高層マンションでは、従来の宅配ボックスが不足しており、ECの急増に対応できていない状況です。これにより、宅配ボックスが満杯になり、物流業者が荷物を届けられない問題が増えています。さらに、一部マンションでは、置き配がグレーゾーンとなっているケースもあり、管理会社は明確なルール作りを求められています。

セキュリティ面でも、置き配の推奨は進んでおり、警察からも玄関前での置き配を促す要請があります。弊社が提供するスマートロックは、安全性を確保しつつ、荷物を玄関先に置き配できるサービスです。配送員が建物の近くに来た際、一度だけ鍵を解錠できる仕組みで、セキュリティを強化しながら再配達の削減に貢献しています。

この技術は既に約1万棟、40万世帯に導入され、順調に普及しています。また、24時間対応のコールセンターを運営し、トラブルにも迅速に対応しています。不動産会社向けに提供してきたこのサービスは、入居者の利便性向上だけでなく、管理会社やオーナーにも利益をもたらしています。今後も、収益貢献できるサービスを提供し続け、業界のトップランナーとして邁進していきます。

 

Yper株式会社/LOMBY株式会社 内山様

Yper株式会社は、2017年に設立され、再配達問題の解決を目指して置き配バッグの「OKIPPA」を開発・販売しています。「置き配バッグ」は、ドアに取り付けて使用する簡易な宅配ボックスで、玄関前に吊り下げるだけで荷物を安全に受け取ることが可能な製品です。これにより、宅配ボックスが無い集合住宅でも、宅配便の受け取りをスムーズに行えるようになり、再配達率を大幅に削減しました。現時点で、累計23万個が販売され、その利便性が多くのユーザーに支持されています。

 

また、自治体の環境課や都市整備課とも連携し、ラストワンマイル配送の効率化を図るため、モニタープログラムを実施。無償提供の「OKIPPA」を使用してもらい、再配達が約80〜90%削減されるという成果を得ています。この取り組みにより、地域の労働環境改善や配送効率の向上を実現しています。

 

LOMBY株式会社は、2022年にYper株式会社の新規事業会社として設立され、自動配送ロボットを開発しています。物流におけるラストワンマイルの効率化と自動化を行っています。

 

現在はセブンイレブンの2店舗で自動配送ロボットを試験運用中です。このロボットは1~f2キロ圏内の配送を自動で行い、配送員不足や高齢化社会に対応した解決策として期待されています。自社開発のソフトウェアを搭載しており、効率的かつ安全な配送を実現しています。将来的には、この技術を国内外で展開し、グローバルな物流インフラの整備を目指しています。

 

このように、Yper株式会社/LOMBY株式会社は、再配達問題や物流業界が直面する課題に対して、革新的なソリューションを提供し続けており、今後もさらに進化を遂げながら、社会貢献を目指していきます。

 

株式会社ゼンリン 八代様

ゼンリンは、1948年に大分県別府市で創業し、地図作成を中心とした事業を展開している企業です。創業当初は観光雑誌を発行し、その付録として温泉街の地図を提供したことがビジネスの始まりでした。その後、日本全国の住宅地図を作成する企業として成長し、1980年代には地図の製作工程をアナログからデジタルに移行、1990年代にはカーナビゲーションシステム向けのデータ提供を開始しました。

 

現在、ゼンリンは単に地図を作成するだけではなく、地図情報を基にした時空間データベースの構築にも注力しています。このデータベースは、物流業界や自動運転の分野においても重要な役割を果たしており、正確な住所情報や建物の入り口情報を提供することで、効率的な配送や案内をサポートしています。特に、住宅地図は建物ごとの入居者やテナント情報を収録しており、物流業者にとって不可欠なツールとなっています。

 

また、ゼンリンの強みは、情報収集・管理から提供までの一連のサイクルによる事業基盤を確立している点にあります。常に最新の情報を維持できるシステムを構築することにより、物流業界、不動産業界、自動運転の分野においても、精度の高い地図データの提供を可能にしています。

 

最近では、ゼンリンはあらゆる情報を収集することによる情報プラットフォームの拡充にも取り組んでおり、社会全体で情報を共有し、新しい価値を生み出すプロジェクトを推進しています。

 

ゼンリングループの株式会社ゼンリンフューチャーパートナーズはこれまでに32件のスタートアップ企業への投資を行い、物流・不動産分野をはじめとする多様な業界への価値提供を強化してきました。

 

ゼンリンは、今後も地図情報を基にした新しいビジネスモデルの開発を通じ、さらに広範な社会貢献を目指してまいります。

 

第2部 パネルディスカッション

 

−置き配は消防法的に大丈夫なのでしょうか?

杉村氏)

大丈夫です。避難経路の妨げにならなければ問題ありません。

椅子などの大型のものは消防法に抵触しますが、配送会社各社によって大型荷物の置き配は行わないので問題はないです。

 

−宅配ロッカーがある物件は置き配の必要はないのでは?

杉村氏)

おおよその傾向ですが、宅配ロッカーが世帯数の5割を超えてる場合は賄えている物件が多いように見受けられます。3割を下回る物件では、宅配ボックスの不足感や受け取りの不便さを感じている入居者が8割以上を超えてくる傾向にあります。

ただ現在では、宅配ボックスがある場合でも、重たい飲料水や米、洗剤などの日用品は玄関前置き配で受け取りたいという入居者要望も非常に増えています。

 

−再配達率が、2017年の20%から現在10%程度まで下がった理由はなんでしょうか?

内山氏)

コロナによる在宅勤務の普及と置き配の普及による部分だと考えている。

 

−自動配送ロボットはすでに実用化されていますか?また、どのような地域で導入が進んでいるのでしょうか?

内山氏)

自動配送ロボットは、一部の地域で試験導入が進んでいます。特に、都市部や過疎地域での需要が高く、これからさらに拡大していく予定です。技術的には、まだ改善点もありますが、近い将来、全国的に普及することを目指しています。

 

ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
次回のイベントは11月14日開催の【最新技術特集】です。
皆さまのご参加お待ちしております。

 

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