【イベントレポート】第9回業界マップ部会「不動産データベース」

2024.09.30UP

第9回業界マップ部会「不動産データベース」のカテゴリーで開催されました。
今回ご登壇して頂いた企業は、

  • TRUSTART株式会社
  • 株式会社トーラス
  • RESTAR株式会社

の3社です。前半は各社製品・サービスのご紹介をしていただき、後半はパネルディスカッションを実施いたしました。

当日のパネルディスカッションの様子をお伝えいたします。

それぞれのターゲットと競争の源泉を教えてください。

  

TRUSTART大江氏)
ターゲットとしては、不動産業界全体を見ています。デベロッパー、仲介業者、管理会社、ハウスメーカーなど、あらゆる業界の方々にご利用いただいている状況です。競争優位性についてはいくつかあるかもしれませんが、当社としては、テクノロジーを活用するのはもちろんですが、人間の介入がなければデータ化できない部分が多い不動産業界において、愚直に取り組む姿勢を大切にしています。また、不動産業界はスピード勝負の要素も強いので、データ化のスピードにこだわる点が評価されやすいポイントだと思います。
さらに、データだけでなく、バリューチェーンの拡大やサポート範囲の広さも紹介いただくことが多く、企業ごとに異なるニーズにうまく対応する提案を今後も行っていきたいと考えています。


トーラス木村氏)
恐らくですが、データベースでやっている範囲においては、素材自体はそんなに変わらないし限られていると思います。それを元にして考えると、トーラスの強みは、素材そのものにもありますが、それ以上に「それをどう料理していくか」という点だと思います。さらに言えば、トーラスの不動産チェッカーというサービスは、使っていて楽しいんです。お客さんからも「これを使うと楽しい」という声をよくいただきます。あるお客さんには「このサービスで酒が飲める」と言われるほどなんです。つまり、それくらい楽しいので、自然と使うことになり、エリア情報やオーナー情報をどんどん知っていくうちに、話のネタに困ることがなくなるんですね。そうすると、自信を持ってお客さんに提案でき、その場で様々な質問にズバズバ答えられるようになるんです。
こういったデータベースを使った営業支援システムの成果というのは、商談数に表れると私は思います。いきなりサービスを導入して売上が急に伸びるというほど甘い世界ではありません。しかし、商談数が増えれば、結果として実績が積み上がり、それが後から成果として現れてきます。したがって、まずは商談数を増やすことが、こういったテクノロジーのサポートが求められる部分なのです。そのためには、使っていて楽しいサービスでなければなりません。これが私の考えです。そして、その考えに共感し、賛同してくださるお客様が今、いらっしゃるのだと思っています。

 

━海外 における最新動向や、 海外企業で各社それぞれベンチマークしている企業はありますか。

TRUSTART大江氏)
ベンチマークに関して、具体的に細かく決まっているわけではないですが、例えばアメリカではコースターさんやVTSさんなどが地価総額的に盛り上がっていて、やはり強いプレイヤーだなという感覚があります。こうしたビジネスモデルは一つの方向性として考えられると思います。
また、データベースという意味では不動産とは少し離れますが、例えば法人のデータベースで言えば、ズームインフォさんや、日本でセールスマーカーさんのような事業も非常に成長しています。国内でも、医療データ分野では、エムスリーさんやジャムダックさんなど、盛り上がっている会社がたくさんあるので興味があります。そうしたさまざまな企業の良いところを取り入れながら、私自身がやりたいことを見つけて、さらに成長させていきたいと考えています。

トーラス木村氏)
ベンチマークはあまり意識していませんでしたが、あえて言うなら二つあると思います。
一つ目は、アメリカのMLS(Multiple Listing Service)です。主要なステップは違いますが、基本的にやっていることは同じです。そして、そのシステムがほぼ完成していて、誰でも利用できるようになっているのは大きなポイントです。日本も長期的にはそういった仕組みを目指していくべきだと思います。行政が主導でこうしたシステムを作るのも良いですが、民間が主導して作るのも全然ありだと思います。こうした活動を進めていきたいと考えています。
二つ目のベンチマークは、少し抽象的な表現になりますが「ゲーム」です。仕事でも、ゲームのように楽しくないと続かないと思います。インターフェースをいかに楽しく、使いやすくするかが重要です。
話しながら思いついたのですが、もう一つのお手本は「LINE」です。LINEを使うのにマニュアルを読む必要があると言う人はほとんどいません。画面を見ただけで、誰でも直感的に使えるようになっています。これは非常に大切なことです。だからこそ、不動産においても「LINEが使えるおじさんなら誰でも使える」ということを目指して、インターフェースを進化させる必要があります。また、ゲームのようなワクワク感を引き出すことも大事だと思います。これらの要素を組み合わせて、さらなる進歩を目指していきたいと思っています。

 

 ━不動産データベース領域における課題感 、行政など業界に対する提言があれば一言お願いします。

TRUSTART大江氏)
先輩方がすでに取り組まれているカテゴリーなので、 不動産データベースの認知度がかなり広がってきているのではないかと思います。一方で、運用までしっかりと行えている会社はまだ少ないのも事実です。データを購入したものの、うまく使いこなせずにやめてしまうケースもあります。そうした課題を解決するためには、デリバリーまで含めてサポートが重要です。行政や代表者の変化がある中で、スタートアップ側も手厚いサポートを提供する必要があります。業界全体が歩み寄り、市場の規模や可能性を拡大していきたいと考えています。

トーラス木村氏)
行政には、できるだけ多くの人が活用できるようにサポートしていただけると嬉しいです。せっかく税金で貴重なデータを作っているので、それがもっと有効に活用されるといいなと思います。知的財産を共有し、データの活用を進めることが大切ですが、現状ではその努力がもっと進んでいくと良いですね。個人情報の取り扱いや条例の問題が取り上げられることが多いですが、その結果、データ活用に対する障壁となっていることがあります。海外ではデジタルデータの活用が進んでいる一方で、日本では規制が過剰に感じられることがあります。こうした状況では、ベンチャーやスタートアップが時間を取られてしまい、成長の機会を逃すことがあります。
だからこそ、データはできるだけ早く公開し、デジタル化を進めることが重要です。迅速な対応とスムーズなプロセスが整えば、より良い結果が生まれると信じています。

 


 

ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

次回のイベントは10月30日開催業界マップ部会のカテゴリーは【第10版不動産テックカオスマップ公開!編集チーム注目企業】です。

皆さまのご参加お待ちしております。

 

 

ほかの記事も読む