【イベントレポート】第28回ビジネスマッチング部会「野村不動産ナイト」

2025.04.14UP

第28回ビジネスマッチング部会が開催されました。今回は野村不動産ナイトと題し、野村不動産グループ様から各企業10分前後でプレゼンテーションをいただいた後、20分間のパネルディスカッションを実施しました。オンライン参加も可能ですが、原則としてリアルな参加者の声を優先しています。
イベントの一部をご紹介いたします。

第一部 各企業プレゼンテーション

野村不動産ホールディングス DX・イノベーション推進部の岡と松代と申します。本日は、当社グループのビジョンや取り組み事例、直面する課題についてご紹介し、皆さまとオープンイノベーションを通じて共創を実現できればと考えております。

当社は、野村不動産グループの持株会社として、グループ全体のコーポレート機能を担っています。本日は、グループ共通のビジョンや戦略についてお話しします。グループには6つの事業部門があり、住宅、都市開発、海外、資産運用、仲介・CRE、運営管理の6部門で事業を展開しています。中でも、マンションブランド「プラウド」をご存じの方も多いかと思いますが、住宅部門が売上高の大きな割合を占めています。一方で、事業利益の観点では、住宅、都市開発、資産運用・仲介・運営管理の3領域がほぼ均等にバランスよく構成されています。

当社の事業は大きく2つの分野に分かれます。デベロップメント分野では、不動産開発に投資し、価値を生み出します。一方、資産運用や仲介、管理部門は、不動産関連のプロフェッショナルサービスを提供することで収益を上げています。これらの部門が連携することで、グループ全体として新たな価値を創出していくことが戦略の要となっています。

2030年ビジョン:「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」
当社が掲げるビジョンでは、「まだ見ぬ価値」の創出を重視しています。社内だけでは見えない新たな可能性を、オープンイノベーションを通じて皆さまと共に生み出していきたいと考えています。グループの事業基盤や顧客基盤と、皆さまのノウハウやソリューションを掛け合わせ、これまでにない価値を共創していければと思います。

当社グループはこの夏、本社を「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」へ移転します。新たなオフィスでは、都市と自然、人と人をつなぐ場を創出し、働き方のアップデートを進めていきます。こうした未来を共に創っていくパートナーを探しており、本日の機会を通じて皆さまと新たな可能性を探っていければと思います。

ここからは我々のミッションの話、イノベーション推進課の紹介を少しさせていただきたいと思っています。イノベーション推進課には、大きく分けて2つの活動があります。一つは、グループ社員を対象にしたイノベーション促進制度「NEXPLORER」の企画運営、もう一つは、ベンチャー企業との協業や出資を行うオープンイノベーション業務です。「NEXPLORER」では、グループ全体の社員を対象に学習プログラムを実施し、新領域探索プログラムではマーケットリサーチを重視した新規事業創出に取り組んでいます。事業を広げるのではなく、重点領域を定めて戦略的に進めており、2024年度は注力テーマを設定しリサーチや共同研究を行いました。

オープンイノベーションでは、出資だけでなく、クライアントとして関わることで事業への適用を検証する手法も導入しています。出資はファンド経由と直接投資を使い分け、不動産関連を中心に、当社の事業と親和性の高い企業を対象としています。
今後もベンチャー企業や大手企業との連携を強化し、オープンイノベーションをさらに推進してまいります。

 

野村不動産ソリューションズの小野澤です。
当社は、不動産仲介を中心に多様な事業を展開しており、顧客のニーズに応えるために日々取り組んでいます。私が所属する経営企画部では、2015年からDX推進を開始し、現在は「デジタル戦略デザインラボ」として活動を行っています。このラボは、若手社員が中心となり、社内のニーズを基にしたDXの検討を行い、プロセス重視で取り組んでいます。短期的な成果に焦点を当てず、試行錯誤を重ねながら成長しています。

これまでの取り組みとしては、営業現場でのデジタルツール導入が挙げられます。例えば、Faciloというツールを2年間かけて導入検討した結果、今年度から全店導入に至り営業現場で好評を得るなど、実務に即したデジタル化を進めています。また、VRを活用した若者世代へのアプローチ方法を模索し、VRを取り入れた探究学習プログラムの開発と教育現場への提供が実現しました。VRを取り入れた探究学習プログラムの取り組みは、サステナビリティへの貢献にもつながり、副次的な効果も得ることができました。

現在進行中のプロジェクトとしては、GOGEN社と共同で、不動産売買手続きのデジタル化を進めています。リテール顧客向けの、契約決済から決済以降も継続して利用できるマイページの構築により、顧客接点の継続に活用していくことを目指しています。この取り組みは、不動産取引における顧客の利便性向上を図るとともに、営業の業務のデジタルシフトにもつながるものです。

今後の課題としては、顧客管理の改善があります。現在、リテール・ミドル部門とホームセール部門で異なるCRMシステムを使用しておりますが、顧客情報や物件情報など社内情報の利活用を目指し整理・検討していきたいと考えております。次に、データ活用の推進です。データを有効活用するためには、データ活用の切り口を考え分析できるノウハウを持った人財を育成することが不可欠です。

また、攻めのDXとしては、営業領域でのデジタル施策を積極的に進め、顧客への新たなアプローチ手法の構築を目指しています。しかし、ツールが増えることでデータが分散してしまう可能性もあるため、将来的にはこれらのツールに蓄積されているデータを一か所に集約して、より効果的にデータ活用できる構造を作っていきたいと考えています。

 

野村不動産パートナーズの須合です。
当社は、ビルやマンションの運営管理を中心に、プロパティマネジメント(PM)、大規模修繕工事、データセンター管理などの事業を展開しています。我々は、運営管理業務の効率化を優先的に様々な取り組みを行っています。その一例として、検針や点検業務の効率化を目的にSaaS型管理システム「管理ロイド」を導入しています。

また、オフィスビルでエレベーターと清掃ロボットの自動連携を進め清掃業務の省人化に取り組んでいます。この取り組みは、今後ビル管理だけでなく、マンションにも展開を考えています。

しかし、現在直面している課題もあります。最も大きな問題は、労働人口の減少です。ビル管理業務は依然として人手に依存しているため、現場に張り付く人材が不足しており、これがサービス品質の低下や業務効率の悪化を招くリスクとなっています。

ITやデジタル技術の進化により、ロボットやAIが業務を代替する可能性も高まっています。この変化に対応するため、他社と差別化を図る必要があり、どのように生産性向上と新たな価値の創出を実現するかが重要な課題となっています。

そのため、当社では「X-ing(クロッシング)」という取り組みを始めました。この取り組みは、DXを進めるためのマインドチェンジを促し、全社で変革を進めることを目的としています。人や情報が交わる、自分事(I)として変革を加速させる環境を作り出しています。DXの進行により業務の効率化やサービスの質の向上を目指しており、今後も新たな価値創出に向けて積極的に取り組んでいきます。

 

野村不動産ライフ&スポーツの菅原です。
私たちの業界は、コロナ禍で非常に厳しい状況に直面しました。特に、フィットネス業界は大きな打撃を受け、会員数が減少しましたが、収益を確保するために新たな取り組みを行っています。

現在、当社は「メガロス」と「ルフレ」という2つのスポーツクラブブランドを展開しており、全国に44店舗を持っています。コロナの影響で、会員の一部が退会したり、有料会員の数が減少したりするなど、大きな打撃を受けました。業界全体で約3割の会員が戻ってこないという状況が続いています。これに対して、私たちは収益源の多角化を進め、会員収入だけではなく新たな収益源を確保しています。

特に注力しているのが、スクール事業の拡大です。これにより収益の増加を図り、会員以外の収益源を増やすことを目指しています。さらに、物販事業やパーソナル、アフタースクールなど、新しい事業展開にも取り組んでいます。アフタースクールでは、通常の学童保育に加えて、習い事を提供することで、共働き家庭のニーズに応え、家族の時間作りをサポートしています。最初は武蔵小金井からスタートし、現在では2000人以上の子どもたちが通っています。

また、当社の強みの一つとして、オリジナル商品や物販の展開があります。ナチュラルローソンで取り扱いを始めたプロテインコーヒーは順調に伸びており、コーヒーは138万杯以上提供されています。課題としては、購買記録がうまく取れていない点が挙げられますが、これを改善するための取り組みも進めています。具体的には、当社のシステムを活用し、会員情報や新規事業を連携させ、データの分析と収益向上を目指しています。しかし、現時点ではシステム間の連携に課題があり、それを解決するためにはデータ管理の方法を見直し、CRMの整備が必要です。

今後の方向性としては、会員情報を一元管理し、セキュリティを強化した上で、それを売上に結びつけるためのCRMシステムの導入を進めていきます。このような課題に取り組みながら、私たちは事業を拡大し、会員満足を向上させるために努力していきます。

 

第二部 パネルディスカッション

━芝浦にグループ全部集まるのでしょうか?今は新宿のイメージです。

できるだけ集まりたいと思っています。
7、8000人規模のグループの中で、約3000人ほどは集まる予定です。

━ソリューションズ様のご質問です。様々な不動産テックのSaaSサービスを導入されていますが、一つ一つのシステムが分かれてしまい、使いこなすのが大変だったりしませんか?いろんなアプリログインし、いろんな管理画面を覚えるのは大変ではないかと思いました。

ラボでの活動を実業に落とし込む際、各セクションで使うシステム担当者が社内で活用推進を行うことができるようになっています。実際に、グループ検討チームをすでにアサインして取り組みを進めているので、実業で使用を開始する際には、ラボの活動に長く関わってきた担当者が実務の推進役として活躍しています。そのため、現場でうまく社内営業にツールを活用してもらえる役割を担っています。現在のところは順調に進んでいますが、営業の人たちが変化に対して非常に抵抗を感じている部分もあります。そのため、サービス導入のメリットを明確に伝え、営業の人たちにどれだけ良いことがあるのかをしっかり説明していくことが重要だと感じています。

 

━資本提携があると他社からの類似サービスでより良い提案があった場合は是々非々で検討されますか?

先に始めた人たちにはその強みがあり、後から始めた人たちにもまた別の強みがあると思っています。私たちとしては、システムに業務を合わせていく形で進めようとしています。
良い提案があれば、アプローチしていただければと思います。 

━マンションの管理人不足について何か対応されていることはありますか?

実際には人が行っている業務もあることは事実です。現在、徐々にシステムへの置き換えは進んでいます。しかし、現場の管理者が不在のこともあるため、サービスの提供方法を見直す必要があると感じています。これはデジタルに関わる部分ではありませんが、その部分もしっかり見直して進めていかなければならないと考えています。

メガロスプロテインコーヒーを例えばビルのテナントやマンション、お店に売るというような施策はありますか?

販路はできるだけ拡大していきたいと思っています。その点でもチャンスがあれば販売していきたいです。

━スタートアップさまとの連携の上でどのように情報収集されていますか?ベンチャーキャピタルなどにご出資されていますでしょうか。LP出資していますか。

情報収集については、私たちがイベントに参加したり、ホームページから問い合わせを行ったりと、地道な活動をしています。また、いくつかのベンチャーキャピタルにも出資し、情報収集を進めています。最近では、各事業部門から「このスタートアップと連携したいのですが、そのためのコツをサポートして欲しい」といった依頼や、「出資を検討できないか」といった相談も増えてきています。こうした動きは、今後さらに発展させていきたいと考えています。

 

━パートナーズ様に質問です。今後、遊休資産土地や駐車場等の活用に関する技術についてDXお考えですか。

直接的に駐車場事業に取り組んでいるわけではありませんが、むしろ都市開発部門との連携が重要だと考えています。私たちが管理している建物のオーナーが持っている遊休資産については、私たちが把握しており、それらを活用するための入り口として、開発を提案することがあります。駐車場事業については、私たちが仲介役として対応しています。直接出資を行うことはありませんが、当社のPMがオーナーに対して提案を行うことはあるかもしれないですね。

━不動産販売に対してVRモデルルームをいくつか利用されていると思いますが、導入前後での効果、成功失敗事例を教えてください。また、次にどのようなVRサービスを望まれていますか。

VRモデルルームについては、スタイルポートさんと住宅部門と連携しています。導入のきっかけはコロナ化でお客様が来場しづらい状況が続く中で、営業活動を途切れさせないためでした。実際にモデルルームを導入したところ、かなりの効果がありました。この効果を受けて業務提携に至ったので、その点では非常に効果的だったと思います。次に進むべき方向としては、来場からVRモデルルームの活用という流れがしっかりと機能しており、反響や来場を獲得する上で、システム連携や情報提供を通じてお客様との接点をまとめていくことを一緒に進めています。

 

 

ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。
会場でのご参加お待ちしております!

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